こんにちは、アイスターオフィスです。

今回は、当事務所に寄せられる相談の中でも特に多い「不倫中の配偶者から関係破綻を理由に離婚を強要されるケース」について解説します。

「会話が少ない=夫婦関係の破綻」は本当なのか?

話し合い

「家の中で会話が少ないから夫婦関係は破綻している」

「もう愛情がないから離婚するべきだ」

このような言葉を不倫中の夫から突きつけられ、戸惑い、苦しんでいる方は少なくありません。

しかし、法的な観点から見ると、単に「会話が少ない」というだけでは、夫婦関係の破綻とは認められないことをまずはお伝えしておきます。

法的に「夫婦関係の破綻」と認められる状況とは

裁判所が夫婦関係の破綻を認定する際の主な判断基準は以下のようなものです。

  1. 長期間の別居状態:概ね3年以上の別居が続いている
  2. 性的関係の完全な断絶:長期間(数年単位)にわたって続いている
  3. 経済的共同生活の終了:収入や財産が完全に分離され、家計の共同性がない
  4. 修復の見込みのなさ:カウンセリングなどを試みても回復の見込みがないと客観的に認められる状態

つまり、「最近会話が減った」「食事を一緒にしなくなった」程度では、法的な意味での破綻とは認められにくいのです。特に、子育てや家事などで生活の共同性が保たれている場合は、なおさらです。

なぜ不倫中の配偶者が「関係破綻」を主張するのか

夫婦ケンカ

不倫をしている配偶者が「夫婦関係はすでに破綻していた」と主張するケースは非常に多く見られます。

その背景には以下のような理由が考えられます。

1. 自分の不貞行為を正当化したい

「浮気をしたのは夫婦関係がすでに破綻していたからだ」と主張することで、自分の不貞行為に対する道徳的・法的責任を軽減しようとする心理が働きます。

2. 慰謝料の減額を狙っている

夫婦関係が破綻した後の不貞行為については、慰謝料の額が減額されたり、場合によっては請求自体が認められないこともあります。そのため、「関係はとっくに破綻していた」と主張することで、金銭的負担を減らそうとする意図があることも少なくありません。

3. 「有責配偶者からの離婚請求」のハードルを下げたい

日本の離婚法では、不貞行為など離婚原因を作った「有責配偶者」からの離婚請求は原則として認められにくいという特徴があります。しかし、「すでに関係が破綻していた」と認められれば、この原則の例外として離婚が認められる可能性が高まります。

実際の相談事例から

当事務所に寄せられた相談から、典型的な事例をご紹介します(※個人情報保護のため、詳細は変更しています)。

事例1:突然の離婚要求

Aさん(42歳・女性)は、結婚15年目の夫から突然「もう会話もないし、関係は破綻している」と離婚を切り出されました。子どもの学校行事や家事の話以外ではあまり会話がなかったものの、家族としての生活は普通に営まれていました。

調査の結果、夫は1年前から職場の女性と不倫関係にあり、その女性と将来を考えるようになったことが離婚要求の真の理由であることが判明しました。

事例2:「別居しよう」と言われたケース

Bさん(38歳・女性)は、夫から「しばらく別居しよう」と提案されました。理由は「お互いの時間を大切にしたい」というものでしたが、違和感を覚えたBさんからの依頼で調査したところ、夫は別居開始とほぼ同時に以前から交際していた女性と同棲を始める計画があることがわかりました。

この場合、別居を始めた時点で「夫婦関係の破綻」を主張するための布石を打っていたと考えられます。

あなたにできること

もし不倫中の配偶者から「関係は破綻している」と離婚を強要されているなら、以下のポイントを参考にしてください。

1. 安易に離婚に同意しない

感情的になったり、相手の主張をすぐに受け入れたりせず、冷静に考える時間を持ちましょう。特に経済的な不安がある場合は、将来のことをしっかり考慮することが重要です。

2. 不貞行為の証拠を確保する

配偶者の不貞行為の証拠は、離婚交渉や調停において非常に重要な武器となります。不貞行為を立証できる証拠を自分で集めること難しいです。探偵に依頼することを検討してみてはいかがでしょうか?

3. 客観的に夫婦関係を見つめ直す

実際に修復不可能なほど関係が悪化しているのか、それとも努力次第で改善の余地があるのかを客観的に考えることも大切です。

4. 法的アドバイスを受ける

早い段階で弁護士に相談し、法的な選択肢や権利について理解しておくことをお勧めします。知識があることで、冷静な判断ができるようになります。

法的に見た「夫婦関係の破綻」について

最高裁判所の判例では、夫婦関係の破綻について以下のような判断が示されています。

「単に夫婦間の会話が減少したり、性的関係が希薄化したりしただけでは、直ちに婚姻関係が破綻したとは言えず、社会通念上、夫婦としての実体を全く失い、かつ、それが回復する見込みがないと認められる程度に至って初めて破綻したと言える」

つまり、「会話が少ない」という一事をもって夫婦関係が破綻しているとは認められないのです。

まとめ:一人で悩まず専門家に相談を

不倫している配偶者から「関係は破綻している」と離婚を強要されるのは、非常に辛い経験です。

しかし、その主張が法的に妥当なものかどうかは別問題です。

アイスターオフィスでは、不貞行為の証拠収集はもちろん、あなたの大切な人生の選択を、正確な情報と証拠に基づいて行うためのお手伝いをさせていただきます。相談は無料で承っておりますので、お気軽にご連絡ください。

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